チェルノブイリの勝者──放射能偵察小隊長の手記(5)|セルゲイ・ミールヌイ 訳=保坂三四郎
初出:2014年4月16日刊行『福島第一原発観光地化計画通信 vol.11』
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第15話 タバコを始めた理由(後半)
(前半のあらすじ)
愛用の偵察装甲車が修理に出されたため、新米の運転手を連れて別の車で偵察に出発したセルゲイ率いる放射能偵察小隊。しかしその装甲車もゾーンからの帰りに故障、他の車に牽引されるはめに。任務を終えてゾーンから出ようとする放射能偵察隊の前に立ちはだかるのはPUSOと呼ばれる放射能検査・除染所。3回の洗浄後に放射能が基準をクリアしなければ、車は没収されて〈墓場〉送りに。つまり明日から乗る車がない。セルゲイは責任者と話をつけようと放射能検査所の中尉のところに向かった…
セルゲイ・ミールヌイ
1959年生まれ。ハリコフ大学で物理化学を学ぶ。1986年夏、放射能斥候隊長として事故処理作業に参加した。その後、ブダペストの中央ヨーロッパ大学で環境学を学び、チェルノブイリの後遺症に関して学術的な研究を開始。さらに、自分の経験を広く伝えるため、創作を始めた。代表作にドキュメンタリー小説『事故処理作業員の日記 Живая сила: Дневник ликвидатора』、小説『チェルノブイリの喜劇 Чернобыльская комедия』、中篇『放射能はまだましだ Хуже радиации』など。Sergii Mirnyi名義で英語で出版しているものもある。チェルノブイリに関する啓蒙活動の一環として、旅行会社「チェルノブイリ・ツアー(Chernobyl-TOUR)」のツアープランニングを担当している。
保坂三四郎
1979年秋田県生まれ。ゲンロンのメルマガ『福島第一原発観光地化計画通信』『ゲンロン観光地化メルマガ』『ゲンロン観光通信』にてセルゲイ(セルヒイ)・ミールヌイ『チェルノブイリの勝者』の翻訳を連載。最近の関心は、プロパガンダの進化、歴史的記憶と政治態度、ハイブリッド・情報戦争、場末(辺境)のスナック等。