どこにも属さない……いや、属せない私のBØCHØ物語──傍聴活動20年を振り返って 前略、塀の上より(23)|高橋ユキ

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webゲンロン 2025年4月24日配信

 普段、いろんな裁判や事件を取材して記事を書いている。などと毎回書いていて、さすがに覚えてくれた人もいるかと思うが、しつこく書いておかなければ「どんなやつが書いているんだ」「素人か」などとネガティブなことを言われてしまうのがウェブ媒体なので、やっぱりしつこく書いていこう。

 裁判の傍聴を始めてなんと、丸20年が経った。この世に生まれた赤ちゃんが、お酒を飲める年齢になるぐらいまでの時間を傍聴席で過ごしてきたと思うと、自分でも若干引いてしまう。ちなみに今年から21年目である。節目というのは記事になりがちだ。未解決事件などでは発生からX年として記事になる。今回は節目にちなんで、印象深い裁判話や、これまでの傍聴生活を振り返ってみたい。

 などと書いておきながらのっけから全く文脈の違う思い出話をさせてもらおう。よくよく考えてみれば、毎月こんなふうに、自分の考えを自由に書くことができる場があるのは、相当ありがたいことである。そして、こんなありがたい状態が一生続くわけではないことも、長いライター生活を経て理解しており、毎回、これが最終回だと思いながら書いている。加えて、20年も傍聴しているのだから当然ながら年もとり、忘れっぽくなった。忘れてしまわないうちに書いておきたいことがある。

 

★1 清水潔『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』新潮社、2004年。

高橋ユキ

傍聴人。フリーライター。主に週刊誌系ウェブ媒体に記事を執筆している。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)に新章を加えた『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)が好評発売中。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。
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