2023年 変わったもの 変わらなかったもの 前略、塀の上より(8)|高橋ユキ

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webゲンロン 2023年12月28日配信

 今回の記事は12月後半に公開される関係から、2023年を振り返るようなものにしましょう、ということになった。しかし今年はとにかく夏が暑すぎた。秋も暑かった。いつまでも暑いですね、と挨拶を交わしているうちに、気づけば年末になった感がある。ゆっくり気持ちを落ち着けて振り返るようなモードになれないのも、2023年の特徴なのか。とにかく、忙しい年の瀬でもすぐに読めるようなものを書いてみたい。

 まずは、ネットニュース界隈で今年感じた変化を思い出してみる。かねてより私は、北海道のテレビ局が発信しているネットニュースに特徴があるとSNSでつぶやき、また時に記事にも書いてきた。逮捕報道がとにかく詳細なのである。例えば万引きであれば、どの店舗で、何時何分ごろ、何を盗み、合計金額がいくらになったか、やたらと詳しく報じている。そのうえ逮捕された容疑者がなんと言っているかもしっかり記事にする。ただ、内容の詳しさに反して、よほどの重大事件でなければ実名報道はなされない。おそらく北海道のテレビ局の中で何かルールがあるのだろう。これを勝手に「北海道Style」と呼んできた。

 「北海道Style」には「なぜか裁判記事が少ない」ことも大きな特徴だった。逮捕報道は詳細だが、その後が分からないのである。北海道と一口に言っても、裁判所はいくつもある。地裁だけでも札幌地裁を皮切りに、旭川地裁、釧路地裁、函館地裁と4つ。支部も複数あり、簡易裁判所もある。記者さんが取材をするのは大変そうだ。などと勝手に、北海道で事件が起きても裁判報道があまりないことに納得していたのだが、なぜか今年は北海道で発生した事件の裁判報道をやたらと目にしたのだった。夏の暑さでぼんやりしていたわけではない。これは本当だ。よかったらHBCやSTV、HTB、UHBなどで検索してみてほしい。

 またもうひとつ、かねてより気になっていたのは「埼玉新聞の記事はタイトルがやたらと長い」ことだった。埼玉新聞のトップページから「事件・事故」カテゴリにいってみてほしい。とにかく長いのである。

ガシャン…バックした車、住宅の門扉に突進 壁など破壊、運転席に誰もおらず 夫婦ら3人暮らしの家、見に行った妻が通報「車ぶつかり放置されている」 その後、出頭した暴力団幹部を逮捕「突っ込んだ」
https://www.saitama-np.co.jp/articles/58353

 体言止めを多用していることも特徴だ。

恨んだ…女性にマッサージしていた指圧師、依頼を打ち切られ…ひどい行動に 深夜に女性の車へ放火、女性が寝る自宅に燃え移る 目撃者が女性を起こし、避難させて一命 息子と2人暮らしだった自宅、車もすべて焼失 指圧師を逮捕
https://www.saitama-np.co.jp/articles/58384

 朝なのか深夜なのか、大まかな時間帯もタイトルに書かれることが多い。体言止めも相まってか、歌の歌詞のごとくである。

高橋ユキ

傍聴人。フリーライター。主に週刊誌系ウェブ媒体に記事を執筆している。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)に新章を加えた『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)が好評発売中。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

1 コメント

  • tomonokai80432024/01/04 14:55

    年の瀬に読みました。年末年始に読むのにちょうどよい感じ。 すごい良くて、これを機に、他の記事を読みたくなりました。 今後もwebゲンロンに頻繁に訪れたいなと思いました。

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