指先から考える──導入のための短い会話|森脇透青+布施琳太郎+石橋直樹+植田将暉

植田将暉 特集「帝国をつくろう」は、うっすらと2部構成になっています。まず第1部として、森脇透青さんと布施琳太郎さん、石橋直樹さんの論考があります。それに続く、大崎果歩さんのエッセイからが第2部です。座談会「新しい帝国とその時代」に、五月女颯さん、伊勢康平さん、李舜志さんの論考が続き、ユク・ホイさんの横断連載で締めくくられる。
ただ、これはけっこう謎めいた構成です。帝国についての特集なんだ、きっと歴史や国際政治の話がされているにちがいない! と思って読みはじめると、冒頭では森脇さんや布施さんがどういうわけか不思議なアート作品を分析している。なんだこれは……と思いながらさらにページをめくっていけば、石橋さんが、江戸の国学者が描いた天文図を怒涛のいきおいで紹介しはじめる。
なぜ帝国論で陰謀論や天文学が取り上げられるのか。歴史や国際政治を考えるために、どうして指先や図像について考えないといけないのか。これは最初に補助線を引くべきだなと思いました。というわけで、第2部については別で座談会があるので、ここでは第1部に論考を寄せている、批評家の森脇透青さん、アーティストの布施琳太郎さん、そして国学思想が専門の石橋直樹さんに集まっていただきました。
森脇透青 ぼくと布施さんが注目しているのは、《Qウェブ》という作品です。これをつくっているのは、ディラン・ルイス・モンローというアメリカのアーティストで、かれはおそらく陰謀論的な世界観の持ち主であり、それをアートとして示している。
布施琳太郎 ひたすら固有名を矢印でつないでみせたマップなのだけど、アトランティスから、悪魔やFBI、トランプに北朝鮮まで、ありとあらゆるものが結びつけられていき、それらの全体から「隠された歴史の真実」の流れが見えてくると言うんです。
植田 ほんとうですか!?
布施 モンローとぼくは、ちがう世界観を持っているけれど(笑)、おもしろいのは、彼の手法がまったく異なる文脈の図とも結びついてしまうことなんです。


森脇透青

布施琳太郎

石橋直樹

植田将暉
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