大井・武富・さやわか・東が勝手に選ぶ! 宇宙人にオススメするマンガ家100|ゲンロン編集部

ゲンロンα 2020年5月8日配信
批評家・さやわかさんとマンガ家・大井昌和さんの大人気イベントシリーズ、「ニッポンのマンガ」。その第7弾が、5月4日に行われました。テーマは、宇宙人にオススメするマンガ家100人!前回のイベントで突発的に議論となり、もっと聞きたいという声も多かった、「宇宙人にオススメするマンガ家」という話題についてマンガ家・武富健治さんを迎えて徹底討議。後半からは東浩紀も議論に加わりました。第3部まで計10時間、尽きることのなかったトークの模様をご紹介します。(編集部)
なお、この番組を収めた動画はVimeoにて全篇がご覧いただけます。どのようなプロセスでマンガ100人が選ばれたのか、本記事の内容に関心を持たれた方は、以下のリンクから議論の全容をぜひお楽しみください。(編集部)
第1部 URL=https://vimeo.com/ondemand/genron20200504no1
第2部 URL=https://vimeo.com/ondemand/genron20200504no2
第3部 URL=https://vimeo.com/ondemand/genron20200504no3
人類とはなにかを描き出すマンガ
はじめに、さやわかさんが「宇宙人にオススメするマンガ家」というコンセプトを語ります――それは、われわれが好きなマンガでもなく、オールタイム・ベストでもない。マンガとはなにか。そして、マンガを通して人類とはなにかを、宇宙人に理解してもらうためのセレクションなのだと。

劇画がマンガに残したもの
4コママンガに続いて、劇画や成年マンガといったジャンルも俎上にあがり、その意味や可能性が検討されました。

マンガという枠組みをこえて
第2部では100人のリストアップが終わり、順位づけが始まります。最近の作家や若手マンガ家の名前も挙がり、視聴者コメントでも続々と新たな名前が寄せられました。

狂気をどう評価するか
第3部では、東浩紀が加わったことにより議論が再燃。新たなマンガ家の入選や脱落もありながら、100人が並び替えられていきます。これしかないという順位が決められるまでに、さまざまな視点が提示されていきました。 白熱したポイントをひとつ紹介しましょう。吉田戦車と相原コージの評価です。東が「マンガそのものを壊してしまった、零度の狂気」「浅田彰的にいえばスキゾ」と評価する吉田戦車。それに対して武富さんは、90年代以降長らく「天然」(アート的な閃き)が評価される傾向が強かったことを踏まえ、内省的で構築的な「文学的な才能」も、「天然」と同等に評価されるべきだと応じ、「天然」の吉田と「文学的な」相原の順位に大きな差をつけることに異論を投げかけました。さやわかさんも、自分の作品について十分に理解したうえで戦略的に描くマンガ家こそを高く評価すべきではないか、マンガはある種の構築であると述べ、山本直樹や福本伸行など、作品の環境に自覚的な作家を高く位置づけるという評価軸が明確になっていきました。

大井昌和×さやわか×武富健治×東浩紀「宇宙人にオススメするマンガ家100人を勝手に選ぶ!――ニッポンのマンガ #7」
(番組URL=https://genron-cafe.jp/event/20200504/)
