革命は「家」を否定する。
ソ連の指導者たちが夢見たのはユートピアか?ディストピアか?

内容紹介

革命は「家」を否定する──社会主義の理念を実体化すべく生み出された、ソビエト/ロシアの建築の数々。しかしその実態は当初の計画からかけ離れ、狭小で劣悪な住宅環境と、建てられることのない紙上の「亡霊建築」に分離していく。理想と現実に引き裂かれた建築から見える、大国ロアが抱える矛盾とはなにか。そしてそこで生きる人びとの姿はどのようなものだったのか。webゲンロンの人気連載「亡霊建築論」と「革命と住宅」が大幅な加筆のうえ一冊に。

目 次

はじめに ソ連建築の二つの相


革命と住宅

1 ドム・コムーナ 社会主義的住まいの実験
2 コムナルカ 社会主義住宅のリアル
3 スターリン住宅 新しい階級の出現とエリートのための家
4 フルシチョーフカ ソ連型団地の登場
5 ブレジネフカ ソ連型団地の成熟と、社会主義住宅最後の実験


亡霊建築論

6 ロシア構成主義建築とアンビルトのプログラム
7 ソ連映画のなかの建築、あるいは白昼の亡霊
8 スターリンのソヴィエト宮殿、あるいは増殖する亡霊
9 フルシチョフのソヴィエト宮殿、あるいは透明なガラスの不透明性について
10 ブロツキーとウトキンの建築博物館、あるいは建築の墓所
11 ガラスのユートピアとその亡霊
おわりに
あとがき


ソ連社会主義住宅年表
本書に登場する建築家
初出一覧
参考文献
図版出典
参考映像


※本書の電子書籍版の刊行はございません。あらかじめご了承ください

著者プロフィール

本田 晃子(Akiko Honda)


1979年岡山県生まれ。岡山大学社会文化科学研究科准教授。 東京大学大学院総合文化研究科修了。博士(学術)。 専門はロシア建築史、表象文化論。著書に『天体建築論』(2014年)、『都市を上映せよ』(2022年)など。