『ゲンロン17』読書会を開催しました 友の会カフェゆるれぽ~と(番外篇)
こんにちは、スタッフの住本です。10月26日(土)に、ゲンロン友の会第15期はじめての「友の会カフェ」(友カフェ)が開催されました。友カフェは昨期から始まった会員限定の交流企画です。
昨期はほぼ月1で開催していたのですが、今期からは不定期開催になる予定です。そのぶん内容はさらにバリエーションをもたせたものにしようと目論んでいます。まだ会員でないという方や、会期を更新していないという方にもぜひチェックしていただきたいです(友の会入会・会期更新はこちらから)。
さて、昨期に友カフェをとり仕切っていたゲンロンの「ゆるい」担当、junjunに代わってなぜわたしがレポートしているかというと、今回行われたのが『ゲンロン17』刊行記念特別企画の読書会だったから。会員のみなさまと『ゲンロン17』制作に関わった編集スタッフたちが、ざっくばらんにその内容について語り合おうという趣旨の企画です。
ゲンロンから参加したのは、横山宏介、國安孝具、植田将暉、住本の4人。植田は10月1日からwebゲンロンではじまった人文系ニュースサイト「人文ウォッチ」の中のひととしても活躍中。この日と翌日27日(日)の日中には、神田で開催された「神保町ブックフェスティバル」にゲンロンが初出店しており、彼はそこで配布するための「人文ウォッチ」特製名刺も作成していっていたという気合の入りよう。
その神保町ブックフェスティバル1日目が終了したあとの19時から、『ゲンロン17』の読書会が五反田ゲンロンカフェでスタートしました。集まってくださった会員の方は10人強、ちょうどひとつの大きなテーブルを囲んでみんなでお話しできるいいサイズ感でした。
さて、今回の読書会の目玉のひとつは横山作成の「会場配布特典マル秘資料」。『ゲンロン17』制作にもっとも深く関わったスタッフによる、全記事要約&コメント集です。
読書会は、この資料をもとに横山がひとつひとつの記事の内容や文脈、編集作業のなかでの裏話(!)などを解説するところからスタート。最初はひと記事ごとに解説→会場のみなさんで感想を語り合う、というかたちで進んでいたのですが、感想を語りあううちに「そういえばこの話はあの記事のあれともつながってるかもね」といった連想もがんがん進み、途中からはフリースタイルの感想合戦へと発展していきました。読書会の醍醐味ですね~。
今号『ゲンロン17』の特色は、いつもの号に増して国際色が豊かなこと。巻頭の旧ユーゴ圏取材記をはじめとして、チベット、モンゴル、韓国、アフリカ、イスラエル、タイなど、さまざまな地域の歴史やいま起こっていることを知ることができる多彩な目次の号になりました。
読書会に参加してくださったみなさんのなかにも、「全記事をがっつり読み込んできた」という方もいれば、「これから読みはじめようと思っているところ」という方もいる多様で自由な雰囲気。読書会への参加の仕方も、PCを開いて熱心にメモをとりながら会話に聞き入る方もいれば、ビールを片手にリラックスしながら雑誌の感想を話してくださる方もいらっしゃいました。
そんななかで、やはりもっとも読まれていたのは巻頭の東浩紀「平和について、あるいは「考えないこと」の問題」でした。取材旅行をもとにした紀行文でありながら、終盤で『ゲンロン10』からつづく「悪の愚かさ」についての問題ともつながる哲学的にもスリリングな内容に舌を巻いたという方が多くいらっしゃいました。
当日は全記事について感想を語りあったので、ここでは残念ながらほとんどの内容を割愛することになってしまいますが、旧ユーゴ圏の知識人へのインタビュー2本について、両者の性格のちがいが話題になったり(とくにシェヒッチ氏の戦争中の読書体験や三島由紀夫の読者であるという点は反響が大きかったです)、石田英敬さんの実体験をもとにした記事への衝撃が語られたり(「おなじ日本で起きたこととは思えない」)といったことが個人的には印象に残っています。
途中からはなんと『ゲンロン17』収録のSF中編「那由多の面」の著者である中野伶理さんもご参加くださり、読者が著者に直接感想をぶつける場面もありました。
また、上田洋子「ナショナリズムとストリート」に掲載されたグラフィティの写真をカラーでお見せしたところ、ある方が背景の色の配置に疑問をもたれたところからある発見があったり、「巻末の英語目次はどうやって作っているんですか?」というマニアックなご質問からこだわりの英訳についてお話ししたり、記事の本筋から外れたところの話題でも大いに盛り上がりました。
そんなこんなで読書会がお開きになったのは23時前。約4時間の長丁場となりましたが、みなさんのおかげでまったく疲れを感じない楽しい会でした。「読書会はぜひ毎号やってほしい」というお声もいただいたので、次回も開催されるかも……? いずれにせよ、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!
このような楽しい会を行うことができるのも、友の会のみなさんの支援があってこそのこと。あらためて、まだ会員でないという方は入会をお待ちしております!
ゲンロン友の会