AIと人文社会科学はいかに融合するか
HUMAI論考最終審査会より
──最終的にふたつの論考の掲載が決まりました。選出の理由と総評をうかがえますか。
川上量生 記念すべき初回の最優秀論考として、髙多伊吹さんと岩井優士さんを選びました。今回あえてひとりにしぼらず、このふたりを選ぶことが、HUMAIからのメッセージになるのではないかと考えたからです。
東浩紀 髙多さんの論考は、古典的な情報理論や記号論を、近年のAIの進展を参照しながら読みなおそうとするものでした。これに対して岩井さんは、教員経験のある著者が教育現場でAIをどのように活用できるか試行錯誤するという内容で書かれている。つまり髙多さんは理論に強く、岩井さんは実践に重きを置いている。双方を取り上げることで、HUMAI が理論と実践どちらも重要だと考えていることが伝わるのではないかと、審査員の意見が一致しました。
川上 AIについて人文的に考えることも重要ですが、実際にAIを使ってつくったり動かしたりすることにも挑戦してほしい。AIの可能性を考えるにあたって技術的な知識が役立つこともあるだろうし、逆に人文的な問題意識からつくりたいものが出てくることもあるかもしれない。それが、わたしたちがコンセプトに掲げている「人文社会科学とAIを融合させる」ことです。今後の採択者には、この融合にさらに挑戦してほしいと考えています。
2026年10月24日刊行『ゲンロン19』

伊藤亜紗
79年生。東京科学大学未来社会創成研究院/リベラルアーツ研究教育院教授。著書に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社、サントリー学芸賞)、『手の倫理』(講談社)など。

桂大介
85年生。起業家、経営者。早稲田大学在学中の2006年に株式会社リブセンスを共同創業し、2012年に東証一部へ上場。贈与コミュニティ「新しい贈与論」の運営を務める。2019年株式会社ゲンロンと合同会社シラスを設立、2022年から共同代表に就任。

川上量生
68年生。実業家。京都大学工学部卒業。1997年株式会社ドワンゴ設立。株式会社ドワンゴ顧問、株式会社 KADOKAWA 取締役、学校法人角川ドワンゴ学園理事。著書に『ルールを変える思考法』(KADOKAWA)など。

河野慎
91年生。ZEN大学講師、東京大学大学院工学系研究科特任助教(兼任) 。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士後期課程修了。2019年から2025年まで東京大学松尾研究室に所属。転移学習、深層生成モデル、基盤モデル、ロボティクスや自動運転技術に関する研究に従事。

東浩紀
1971年東京生まれ。哲学者、ZEN大学教授。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』、『平和と愚かさ』など。





