日常の異端性 ──『細雪』 |グレゴリー・ケズナジャット

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2025年5月10日刊行『ゲンロン18』

『細雪』(1944-48)
谷崎潤一郎(1886-1965)
撮影=編集部

グレゴリー・ケズナジャット

84年生。作家。法政大学グローバル教養学部准教授。2021年、「鴨川ランナー」にて第2回京都文学賞受賞。著書に『鴨川ランナー』、『開墾地』(ともに講談社)。2023年、第9回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。

1 コメント

  • TM2025/09/22 16:50

    ケズナジャットさんの小説のように淡く丁寧に接続線が浮かんでくる論考だった。 『細雪』の持つ谷崎作品の中における得意性。その根源が戦時下という状況につながってくる。 日常が目に見えて非日常に飲み込まれる中その濁流をなんとかいなしながら紡いだ物語。 作中雪子の日常が流れる中、妙子の激情的日々も流れている。 全てひっくるめて人間の営みで、それを書ききったのが『細雪』なのかもしれない。

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