『ゲンロンα』より新年のご挨拶

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2022年1月1日
 新年明けましておめでとうございます。本年もゲンロンをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年も『ゲンロンα』をご覧いただき、まことにありがとうございました。おかげさまで『ゲンロンα』はまもなく正式オープンから丸2年。毎週4本ペースで記事を更新してるので、単純計算でオープン以来400本以上の記事が公開されたことになります。これもひとえに、ご購読をいただいているみなさま、ゲンロン友の会会員のみなさまのおかげです。いつも本当にありがとうございます。

 とはいえ、「記事が多すぎてどれを読めば良いのかわからない!」というかたも多いのではないでしょうか。そこで、昨年に公開した記事のなかから、編集部ふたりがオススメの記事をピックアップしました。このお正月のお供にしていただければ大変嬉しいです。


**福冨のおすすめ**

椋橋彩香「ひろがりアジア(8) 現世を映す、タイの地獄表現」:アジア各地の専門家に寄稿いただいているシリーズ「ひろがりアジア」。第8弾の論考では、タイ各地に点在する「地獄寺」について椋橋彩香さんに考察いただいています。地獄の風景を表した立体的な彫刻が多く立つ地獄寺は、奇抜なビジュアルから「B級スポット」と考えられがちです。しかし実際は、善悪功罪の思想を一般市民に伝えるための教育空間や、政治や社会を風刺するメディアとしての役割を担っていました。仏教の思想が生活に浸透しているタイゆえの独特な視覚表現のあり方、豊富な写真と一緒に楽しんでみてください。

「ゲンロンサマリーズ」:過去の弊社刊行物記事のアーカイブサイトも兼ねている「ゲンロンα」。2021年から再掲を始めているのが、2012年5月から2013年6月にかけて配信された、新刊人文書の要約&レビューマガジン「ゲンロンサマリーズ」の記事です。さまざまな評者が、さまざまなジャンルの書籍をコンパクトに要約し、切れのある書評を書いてくださっています。紹介されている書籍はたしかにすこし前のものですが、いまからでも読み返したくなるものばかり。これまでに12本の「サマリーズ」を再掲していますが、すぐに読める記事ばかりですので、この機会にぜひ!

**横山のおすすめ**

山下Topo洋平「シラスと私(1) 南米経由シラス行き!旅するケーナ奏者の挑戦!」:昨年シラス界に彗星のごとく登場した山下Topo洋平さんによる、シラスと出会うまでを綴ったエッセイです。チャンネルを開設しての率直な感想ももちろん魅力的ですが、4歳か5歳くらいでケーナを知ったとか、ボリビアの名も知らぬケーナ奏者の演奏に衝撃を受けたとか、二人組の男に銃をつきつけられたとか、エピソードの細部がいちいちインパクトがあって大変素敵です。振り返ると、年明けに公開され大反響を呼んだ辻田真佐憲さんの「余は如何にして『トップ・シラサー』となりし乎」にはじまり、年末に公開したばかりの桂大介さんと東浩紀へのインタビュー「人間の顔が見える『シラス』」まで、「ゲンロンα」も昨年は「シラスざんまい」でした。リレー企画「シラスと私」は今年も継続予定です!

渡邉大輔「新たな映画の旅にむけて──『新映画論』序文より抜粋」:いま、これを推さずしてなにを推すのか──ゲンロンより2月上旬刊行予定、渡邉大輔さんによるゲンロン叢書010『新映画論──ポストシネマ』の先行公開です。宣伝かよと思ったあなたにも、だまされたと思って最初の見出しだけでも読んでいただきたいです。まさに映画の冒頭のようなその書き出しからは、本書が凡百の「映画評論」の埒外にあることが伝わるはず。そこから一挙に、480ページにおよぶ壮大な「映画の旅」に引き込まれることになります。連載開始から6年、改稿と編集に3年半をかけた超大作。著者・編集部ともに思い入れはひとしおです。この記事を読み、2022年最初の一冊に『新映画論』を選んでいただるととても嬉しいです(こちらからご予約いただけます)。

 上記の記事以外に、小松理虔さんの「当事者から共事者へ」の第11回や、さやわかさんの「愛について」の第10回、田中功起さんの「日付のあるノート、もしくは日記のようなもの」の第9回など、『ゲンロンβ』の連載にもおすすめしたい記事はまだまだあります。ぜひバックナンバーを振り返りながら、お気に入りの記事を探してみてください。

 記念すべきゲンロン叢書の10冊目となる『新映画論』を皮切りに、今年もみなさまに数多くのコンテンツをお届けできるよう、編集部一同努めて参ります。あらためまして、2022年もゲンロンをどうぞよろしくお願いいたします。(ゲンロン編集部)
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