「webゲンロン」より新年のご挨拶(2023年)
2023年1月1日
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。読者のみなさまにご愛顧いただき、当サイトはオープンから3年目を迎えました。
2020年4月に「ゲンロンα」としてスタートした当サイト。昨年8月にはレイアウトを大幅に変更し、現在の「webゲンロン」にリニューアルいたしました。同年3月にはあらたに書評コーナー「ゲンロン書評」が誕生。こちらはサイトリニューアルにともない、現在は書評エッセイコーナー「ゲンロンが読んでみた」として更新を続けています。
こうしてリニューアルやあらたな企画を重ねることができるのも、ひとえに読者のみなさまのおかげです。あらためまして、感謝申し上げます。
さて、毎年恒例になりつつありますが、今年も昨年公開された記事のなかから、編集部スタッフの特におすすめのものを紹介いたします。気になったものがあればぜひご覧ください。
2020年4月に「ゲンロンα」としてスタートした当サイト。昨年8月にはレイアウトを大幅に変更し、現在の「webゲンロン」にリニューアルいたしました。同年3月にはあらたに書評コーナー「ゲンロン書評」が誕生。こちらはサイトリニューアルにともない、現在は書評エッセイコーナー「ゲンロンが読んでみた」として更新を続けています。
こうしてリニューアルやあらたな企画を重ねることができるのも、ひとえに読者のみなさまのおかげです。あらためまして、感謝申し上げます。
さて、毎年恒例になりつつありますが、今年も昨年公開された記事のなかから、編集部スタッフの特におすすめのものを紹介いたします。気になったものがあればぜひご覧ください。
**江上のおすすめ**
【書評】「みんなネコのおかげ」──『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた』評|菅浩江
「ゲンロンが読んでみた」より、SF作家の菅浩江さんの書評エッセイ。底本は『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた』という大部の科学書です。菅さんは著者のネコにまつわる描写をみて「ああ、この人はネコが大好きなんだ」と感じ入るのですが、そのエッセイを読むわれわれもまた「ああ、菅さんはネコが大好きなんだ」と笑みをこぼしてしまうような文章です。本書を読んだことがなくても大丈夫。ネコが好きならぜひ一度読んでいただきたいエッセイです。菅さんはいいます、「ネコがいたら大丈夫」と。
フェイク VS. フィクション──『ドンバス』が描く寓話|本田晃子
ロシア・ソ連建築が専門の本田晃子さんによる、セルゲイ・ロズニッツア監督の『ドンバス』(2018年)評です。フェイクニュースを映画で描く。そんな虚構が幾重にも重なる本作を、本田さんは「ウクライナとロシアではソ連時代からそもそも虚構と現実は不可分の関係にあった」と、スターリン独裁体制下の「見世物裁判」を例に読み解きます。「虚構とはなにか」という問いに対する優れた洞察は、東の「悪の愚かさについて」にも通ずるものです。しかしこのいっけん複雑なテーマに反して、文章そのものはわかりやすく、短くまとまっているところがさすが本田さん。その点でもおすすめです。
**住本のおすすめ**
悪と公共性をアジアから考える(1)|梶谷懐+東浩紀
2021年11月に行われた対談の記事化。『幸福な監視国家・中国』(共著)などで知られる経済学者・梶谷懐さんが、東浩紀と「悪」や「公共性」といった人文的なテーマについて語り尽くします。本格派で重厚な内容ですが、大阪・高槻で生まれ育ったという梶谷さんの出自や、村上春樹の神戸という出自について触れる場面など、ところどころで「関西」とはなにかを考えさせられる部分があるのも個人的には好きな部分です。こちらの対談はシラスにて現在もアーカイブ動画を公開中なので、そちらもぜひのぞいてみてください。
【書評】二枚腰の道徳論──ベンジャミン・クリッツァー『21世紀の道徳』評|平尾昌宏
哲学研究者の平尾昌宏さんが、ベンジャミン・クリッツァーさんの『21世紀の道徳──学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える』を、1万字弱のボリュームでがっつり評した力作。平尾さんが『21世紀の道徳』を読みながら楽しんだり首をかしげたり納得し直したりするプロセスを追体験できる内容で、さらに、平尾さん自身の著作『ふだんづかいの倫理学』やジェイン・ジェイコブズの名著『市場の倫理、統治の倫理』との対比も興味深いです。『21世紀の道徳』は「紀伊国屋じんぶん大賞2023」の第29位にランクイン、平尾さんはゲンロンカフェの年末恒例イベント「人文的、あまりに人文的」で2022年度の著者部門大賞のひとりに選ばれました。
**横山のおすすめ**
そこには言葉と息づかいがあった──『スピッツ論』刊行記念「 Love と絶望の果てに届く音楽批評」登壇後記|伏見瞬
ゲンロンが運営していた批評家養成スクール「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」(ぼくも受講生でした)。その第3期の卒業生である伏見瞬さんが、初単著の刊行記念イベントに望む意気込みと悩み、そして登壇後の達成感を綴るイベントレポートです。登壇者がどんなふうにイベントの準備をし、どれだけ登壇に賭けているかを知れる貴重な赤裸々記事。ひとはこうやって批評家になっていくんだな、という謎の感慨が味わえます。イベントのアーカイブは1月21日まで見られます。ちなみに批評再生塾第一期の「総代」、吉田雅史さんの『アンビバレント・ヒップホップ』も今年の刊行に向け編集が進んでおります!
贈与と失敗がつくる社会──文化人類学と哲学の対話(前篇)|小川さやか+東浩紀 司会=福冨渉
お歳暮、クリスマス、年賀状にお年玉……。なにかと「贈与」が増える季節におすすめの座談会。小川さんがフィールドワークの経験から互酬と贈与の本質を語り、東がそれを理論面から掘り下げるかけあいが楽しい記事です。しかし最大の魅力は小川さんの人間性。こればかりは残念ながら対談記事よりもイベント動画のほうが伝わるのですが、なんと年末年始の人気企画「シラスざんまい」でイベントを再公開中です。ぜひ記事と見比べてみてください! 今年のwebゲンロンはこの対談のような大型記事を増やせればいいな、と抱負を立てる新年です。
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以上、いかがでしたでしょうか。webゲンロンはこれからも面白く、知的で、わかりやすい(しかしときには難しい)記事をみなさまにお届けできるよう努めてまいります。それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。(江上拓)
以上、いかがでしたでしょうか。webゲンロンはこれからも面白く、知的で、わかりやすい(しかしときには難しい)記事をみなさまにお届けできるよう努めてまいります。それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。(江上拓)