書評・インタビュー一覧

批評と哲学と紀行文、そして物語を融合したジャンルレスで、おそろしくリーダブルな、思考不可能なものを思考するまったく新しい日本語文体の誕生を率直に喜びたい。
(大澤聡・批評家)
──毎日新聞 夕刊 2026年1月29日「連載 文芸時評」より

平和の本質にある「考えないこと」を「考える」思考は、実にアクロバティックで面白く、これまで使ってこなかった脳の細胞を刺激する。
(鵜飼哲夫・読売新聞編集委員)
──読売新聞 2026年1月18日「本よみうり堂」より

ここに、本書が哲学書でありながら、批評であり、紀行文でもあるという多層的な体裁から生まれた、極めて示唆的な視点を見ることができる。
(内田麻理香・東京大学特任准教授、科学技術コミュニケーター)
──毎日新聞 2026年1月24日「今週の本棚」より

国際情勢はかつての大国によるむき出しの「力」が支配する状況に回帰したかのように思える。東浩紀『平和と愚かさ』(ゲンロン)は、そういった状況の中であえて「平和」を語ることの意味とその困難さに向き合った書籍である。
(梶谷懐・経済学者)
──リアルサウンド 2026年1月30日「「平和ボケ」は悪いことなのか? 東浩紀著『平和と愚かさ』を梶谷懐が読む」より

哲学者が旅をしているのではない。旅することが哲学なのである。
(與那覇潤・評論家)
──『Wedge』2026年3月号より

2026/02/27『週刊金曜日』2月27日(1558)号に掲載されました。高原到さんによる書評
2026/02/25「ちえうみPLUS」(前編後編)インタビュー
2026/02/23聖教新聞書評
2026/02/20『Wedge』2026年3月号與那覇潤さんによる書評
2026/02/16みすず書房『読書アンケート 2025 識者が選んだ、この一年の本』亀山郁夫さんによる紹介
2026/02/16共同通信社(全国各地の新聞)伊藤潤一郎さんによる書評
2026/02/06『群像』2026年3月号福尾匠さんによる書評
2026/01/30リアルサウンド梶谷懐さんによる書評
2026/01/29毎日新聞「連載 文芸時評」大澤聡さんによる書評
2026/01/24毎日新聞「今週の本棚」内田麻理香さんによる書評
2026/01/23読売新聞「本よみうり堂」鵜飼哲夫さんによる書評

2025年12月27日(金)19:00〜 東浩紀がいま考えていること 8 ──『平和と愚かさ』刊行記念 

目次

はじめに

第1部 平和について

1 平和について、あるいは考えないことの問題

・旧ユーゴスラヴィアへの旅
・共生の平和と隔離の平和
・歴史修正主義と平和の記憶

第2部 ウクライナのまわりで

2 悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題

3 悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶

・チェルノブイリという固有名
・加害と中動態
・虚構と大量生

4 ウクライナと新しい戦時下

第3部 断章

5 顔と虐殺

6 声と戦争

7 博物館の力

8 哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について

あとがき

初出一覧
文献一覧

関連動画
 試し読み はじめに+第1章
 試し読み 第8章
平和と愚かさマップ

ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラヴィア)

 

サラエヴォ

Sarajevo, Bosnia and Herzegovina

サラエヴォ包囲の歴史が残る街。
オリンピックミュージアムでは、サラエヴォ五輪公式キャラクター「ヴチコ」と写真を撮れる。

Vučko


ここで注目したいのは、この街では、そんな平和の記憶と戦争の記憶がなぜかとても近いところに位置していることである。土産物屋では、五輪の多幸感溢れる写真と包囲戦の悲惨な写真が、同じように懐かしの絵葉書として並んで商品になっている。(1 章、57 頁より)

Vučko

ヴィシェグラード

Visegrad,Bosnia and Herzegovina

ユーゴスラヴィアのノーベル賞作家、イヴォ・アンドリッチの代表作『ドリナの橋』はこの街を舞台に生みだされた。

Visegrad


メフメト・パシャは辺境の少数民族の出身であったにもかかわらず、多民族帝国の頂点にのぼり詰め、歴史に残る名建築を故郷に残した。アンドリッチの『ドリナの橋』は、そんな橋を語りの結節点に使った4世紀 にわたる長い年代記である。(1 章、117-118 頁より)

visegrad

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クロアチア(旧ユーゴスラヴィア)

 

ドゥブロヴニク

Dubrovnik, Croatia

アドリア海沿岸の美しい城塞都市。その背後にある山のなかに、祖国戦争博物館がある。

Dubrovnik


予想は外れた。[……]ユーゴスラヴィアやクロアチアといった大きな枠組みで内戦の意義を語るものではなく、あくまでもドゥブロヴニクの歴史のなかで、そこに住む市民の共通経験として戦争を語る博物館だったのである。(1 章、148 頁)

Dubrovnik

セルビア(旧ユーゴスラヴィア)

 

ベオグラード

Beograd, Serbia

かつて、ユーゴスラヴィアで大きな影響力を持った、政治家のティトーに関する施設が点在。ティトーの墓近くの博物館には、彼の誕生日に毎年おくられた沢山のバトンが並ぶ。

Beograd


バルカン半島は 民 族が入り組んでいるうえ、豊かな北部と貧しい南 部の経済格 差も激しかった。それを強引にまとめていたのがティトー個人のカリスマであり、パルチザンの神話だったが、それゆえに逆に彼の死は国家の統一性を大きく揺るがすことになった。(1 章、33 頁より)

Dubrovnik

モンテネグロ(旧ユーゴスラヴィア)

 

ブドヴァ

Budva, Montenegro

猫も行きかう港町。瓦が色鮮やかなドゥブロヴニクの小型版といった田舎っぽさが心地いい。

Budva


NATO は 1999 年に、ミロシェヴィッチ政権のコソヴォへの軍事介入を止めるため、セルビアと、当時同じくユーゴスラヴィアの構成国だったモンテネグロを攻撃している。冒頭で紹介したベオグラード空爆はその一部だが、じつはそれは国連の承認を得ていなかった。ロシアや中国が拒否権を行使すると予想されたため、安全保障理事会で決議がなされなかったからである。(1 章、44 頁より)

Dubrovnik

ウクライナ

 

リヴィウ

Lviv, Ukraine

歴史都市には、兵器のぬいぐるみや鳴り響く空襲警報など、戦時下の日常が広がっていた。リヴィウがある西部はウクライナ・ナショナリズムの中心だ。

Lviv


Tシャツや靴下のようなアパレルに始まり、バッグ、財布、ピンバッジ、マグカップ、文房具、ポストカード、さらにはボードゲームから飼い犬用のレインコートに至るまで、ありとあらゆる戦争応援グッズが制作されている。デザインも多彩だ。(4 章、348 頁より)

Lviv

チェルノブイリ

Chernobyl, Ukraine

原発事故で廃墟と化したプリピャチ団地は、事故当時、約 5 万人が住んでいた。現在もゾーン(警戒区域)に指定されている。ゲンロンのチェルノブイリツアーでも訪問。

Chernobyl

Dubrovnik

キーウ

Kyiv, Ukraine

黄金の聖堂の前に位置するムィハイリウスカ広場には、ロシア軍からの鹵獲物が並ぶ。戦時下のマリウポリとホロコーストの被害を比較した掲示物もみられた。

Kyiv


観光客なら必ず訪れる美しい寺院だが、いまではそのまえの広場にロシアから鹵獲された戦車や兵器が並べられ、敷地の外壁は戦死者の遺影で覆われている。(4 章、357 頁より)

kyiv

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ポーランド

 

ワルシャワ

Warsaw, Poland

スターリン建築「文化科学宮殿」がそびえ立つ。発電所を再利用したワルシャワ蜂起博物館は、ナチス支配下に生じた、市民による武装蜂起を語り継ぐ。

Warsaw


ワルシャワ蜂起博物館では、展示棟の中心の吹き抜けに巨大な爆撃機の複製が吊るされ、アトラクションの目玉になっている。[……]
全体的に映像やジオラマを多用し、知識を伝えるというよりも感情を喚起する展示が多く、実際にぼくたちが訪れたときには親や教師に連れられた子どもの来場者が目立った。(1章、85 頁より)

Warsaw

リトアニア

 

パネリアイ

Paneriai, Lithuania

7-10 万人が埋葬された場所。リトアニア語とロシア語で刻まれた記念碑には、ソ連崩壊後、中央を割ってヘブラ語の碑がつけ加えられた。

Paneriai

Paneriai

ヴィリニュス

Vilnius, Lithuania

『チェルノブイリ』のロケ地となった。緑があふれ、近辺にはロシア語で教育する公立学校も。

Vilnius


あいにくの曇天で小雨がぱらついていたが、ちょうど紅葉の季節で、黄色いイチョウが雨に濡れてかえって美しかった。車を降り、まわりを見まわすとたしかにドラマの光景が蘇ってきた。(3 章、321 頁より)

Vilnius

ベトナム

 

クチ

Cu Chi, Vietnam

ベトナム戦争時、ベトナム側のゲリラが潜伏していた「クチトンネル」。当時の潜伏穴に入る体験ができるほか、追悼施設が併設されている。

Cu Chi


いまではその一部が公開され、何十メートルかを這うことができる。ぼくも試してみたが、運動不足の体ではすぐに息が上がり汗だくになってしまう。ジグザグに曲がっているので自分の位置もわからなくなってしまう。(6 章、409 頁より)

Cu Chi

中国

 

ハルビン

Harbin, China

侵華日軍第731部隊罪証陳列館には、731部隊の施設の一部がいまなお残る。
展示では、機材の再現や証言を通し、人体実験の被害を実証している。

Harbin

Harbin

アメリカ合衆国

 

ワシントン D.C.

Washington D.C., United States

国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館は、スミソニアン博物館群のひとつ。
偉大な歴史と反省すべき過去をともに浮かび上がらせる独立戦争と奴隷に関する展示に注目。

Washington D.C.


煉瓦の壁に刻まれているのは、じつはその 609 人の名前なのだ。[……]すべてのひとは生まれながらにして平等であると記した、その草稿を誇らしげに手にするジェファーソンの像の背後に、彼自身が平等を剝奪していた人々の名が刻まれた壁が覆い被さっている。(7 章、442 頁より)

Washington D.C.

関連動画

ルワンダ

 

5 顔と虐殺 ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第5章「顔と虐殺」の見開きで、加害と記憶をめぐる論考が縦書きで並ぶ。

フィリピン

 

8 哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第8章「哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について」の見開きで、思想と旅をめぐる文章が並ぶ。
正誤表

下記に掲載のない誤植を発見された際は、お手数ですが info@genron.co.jp までお知らせください。増刷分、および電子書籍版にて修正いたします。

対象となる刷ページ数修正予定
初刷・2刷p. 86関東軍給水防疫部関東軍防疫給水部3刷

『平和と愚かさ』関連動画 

2026年1月18日(日)18:00〜 大澤聡×東浩紀『平和と愚かさ』はなぜ生まれたか──文芸批評を超えて【ゲンロンカフェ出張版@福岡】