ぼくたちは政治について語りすぎている。
そのせいで平和から遠ざかっている。

ウクライナ、中国、ユーゴスラヴィア、ベトナム、そしてアメリカ……。
戦争の記憶をめぐり、平和について考えた哲学紀行文集。
ひとは政治の時代をいかに抜け出せるか。
『動物化するポストモダン』の著者による、「考えないこと」からの平和論。

平和は「考えないこと」の広がりで定義される。
だから、平和について考えるとは、「考えないこと」について考えるということでもある。

平和の記憶はつねに訂正可能性に晒されている。
それは寂しいことだが、それこそが平和を生きることの代償なのだ。

平和は「考えないこと」の広がりで定義される。
だから平和は哲学と政治だけでは達成できない。

2025年12月27日(金)19:00〜 東浩紀がいま考えていること 8 ──『平和と愚かさ』刊行記念 

目次

はじめに

第1部 平和について

1 平和について、あるいは考えないことの問題

・旧ユーゴスラヴィアへの旅
・共生の平和と隔離の平和
・歴史修正主義と平和の記憶

第2部 ウクライナのまわりで

2 悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題

3 悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶

・チェルノブイリという固有名
・加害と中動態
・虚構と大量生

4 ウクライナと新しい戦時下

第3部 断章

5 顔と虐殺

6 声と戦争

7 博物館の力

8 哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について

あとがき

初出一覧
文献一覧

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平和と愚かさマップ
著者プロフィール
東浩紀

東浩紀

1971年、東京生まれ。批評家・作家。ZEN大学教授。ゲンロン創業者。博士(学術)。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』、『平和と愚かさ』など。

ユーゴスラヴィア

 

1 平和について、あるいは考えないことの問題 ― 第1部 平和について

『平和と愚かさ』第1章「平和について、あるいは考えないことの問題」の見開きで、ザグレブやベオグラードなど旧ユーゴの地図と旅程を示すマップ。

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ウクライナ

 

2 悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題 ― 第2部 ウクライナのまわりで

『平和と愚かさ』第2章「悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題」の本文見開きで、補償や移住政策について語る縦書きテキスト。

3 悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶 ― 第2部 ウクライナのまわりで

『平和と愚かさ』第3章「悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶」の見開きで、体験談や証言が連なる縦書き本文。

4 ウクライナと新しい戦時下 ― 第2部 ウクライナのまわりで

『平和と愚かさ』第4章「ウクライナと新しい戦時下」の見開きで、ホロドモールやpharmakonに触れる考察が記されたページ。

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ルワンダ

 

5 顔と虐殺 ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第5章「顔と虐殺」の見開きで、加害と記憶をめぐる論考が縦書きで並ぶ。

ベトナム

 

6 声と戦争 ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第6章「声と戦争」の見開きで、マーホコという登場人物と戦争の声をめぐる記述が続く。

アメリカ

 

7 博物館の力 ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第7章「博物館の力」の見開きで、展示と記録のあり方について考察する本文。

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フィリピン

 

8 哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について ― 第3部 断章

『平和と愚かさ』第8章「哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について」の見開きで、思想と旅をめぐる文章が並ぶ。

中国

 

2 悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題 ― 第2部 ウクライナのまわりで

『平和と愚かさ』第2章「悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題」の本文見開きで、補償や移住政策について語る縦書きテキスト。

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