ぼくたちは政治について語りすぎている。そのせいで平和から遠ざかっている。


ウクライナ、中国、ユーゴスラヴィア、ベトナム、そしてアメリカ……。戦争の記憶をめぐり、平和について考えた哲学紀行文集。ひとは政治の時代をいかに抜け出せるか。『動物化するポストモダン』の著者による、「考えないこと」からの平和論。

目次

はじめに

第1部 平和について

1 平和について、あるいは考えないことの問題

・旧ユーゴスラヴィアへの旅
・共生の平和と隔離の平和
・歴史修正主義と平和の記憶

第2部 ウクライナのまわりで

2 悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題

3 悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶

・チェルノブイリという固有名
・加害と中動態
・虚構と大量生

4 ウクライナと新しい戦時下

第3部 断章

5 顔と虐殺

6 声と戦争

7 博物館の力

8 哲学とはなにか、あるいは客的ー裏方的二重体について

あとがき

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著者プロフィール

東浩紀

1971年、東京生まれ。批評家・作家。ZEN大学教授。ゲンロン創業者。博士(学術)。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。