ひとはつねに歴史を訂正している。
「かつて考えなかったこと」を「いま考えていること」で塗りつぶし続けている。
長編小説20作を「家族・一族」の視点からピックアップし、豪華執筆陣が解説する特集「一族の想像力」。日本文化に息づく大阪・関西的な想像力の源泉に迫る小特集「関西とSF」。ほかにも、東浩紀の平和論の最新論考や、文学フリマ事務局代表・望月倫彦と東の特別対談など、充実したラインナップでお届けします。
目次 
[論考][旧ユーゴを歩く2]
東浩紀|平和について、あるいは「考えないこと」の問題(後篇)
取材オフショット
[連載][旧ユーゴを歩く2]
上田洋子|聖像画と記念碑 ヤセノヴァッツで考える ロシア語で旅する世界 第14回
(特集)一族の想像力
鴻巣友季子 スカーレットは新たな家族像をつくりだしていた|『風と共に去りぬ』 聞き手=上田洋子
小川公代 『高慢と偏見』とオースティン一族|『高慢と偏見』
加賀山卓朗 世界と家族を知る「大きな物語」|『大いなる遺産』
鹿島茂 引き裂かれる一族とフランスの統合|『レ・ミゼラブル』
望月哲男 群れ・個人・家族|『戦争と平和』
松下隆志 なまぬるい虚無からの出発|『悪霊』
鹿島茂 貴族社会の恋と想像力|『失われた時を求めて』
中村隆之 崩壊していく世界を語る小説|『響きと怒り』
白岩英樹 あなたがいまここにいないから、わたしはどこにでもいく|『怒りの葡萄』
グレゴリー・ケズナジャット 日常の異端性|『細雪』
山崎佳代子 白い橋の美学|『ドリナの橋』
池澤春菜 多様性と孤独を抱える理想郷| ムーミン・シリーズ
堺三保 〈銀河帝国興亡史〉の未来像| ファウンデーション・シリーズ
伊藤尽 言語の歴史を継承した想像の世界文化遺産|『指輪物語』
依岡隆児 戦争の想起と灰色のリアリズム|『ブリキの太鼓』
古川日出男 繁殖力の文学、だがしかし|『百年の孤独』
安藤礼二 物語を生み出す「廃墟」|『豊饒の海』
小沢自然 インドへの愛の祈り|『真夜中の子供たち』
松田樹 記憶喪失にあらがって|『千年の愉楽』
伊勢康平 夢と空白の起業家小説|『兄弟』
「一族の想像力」日本語書籍一覧
[特別対談]
望月倫彦+東浩紀|文学フリマは日常でありたい
(小特集)関西とSF
[座談会]
小浜徹也+菅浩江+酉島伝法+東浩紀|日本SFは大阪のバカ話でつくられた
[エッセイ]
堀晃|大阪SF八景
[付録]
大阪SF八景散歩地図
[エッセイ]
天沢時生|滋賀県民はどこから来たのか 滋賀県民は何者か 滋賀県民はどこへ行くのか
[ゲンロンの目]
山内萌|AI美女にエロはあるか
[創作]第7回ゲンロンSF新人賞受賞作
大庭繭|うたたねのように光って思い出は指先だけが覚えてる熱 解題=大森望
[連載]
ユク・ホイ|巨大機械の政治認識論 惑星的なものにかんする覚書 第5回 訳=伊勢康平
イ・アレックス・テックァン|冷戦の亡霊に抗して 現代韓国政治から考える 理論と冷戦 最終回 訳=鍵谷怜
石田英敬|水面から飛び出した魚(1) 飛び魚と毒薬 第12回
田中功起|親密さについて 9月5日から4月2日 日付のあるノート、もしくは日記のようなもの 第19回
[コラム]
福冨渉|タイ現代文学ノート #11 読書大国? タイ
山森みか|イスラエルの日常、ときどき非日常 最終回 集合的トラウマの中で
辻田真佐憲|国威発揚の回顧と展望 最終回 ニューメディア時代にこそ歴史の教訓を
[巻末]
ネコデウス18
島暮らしのザラシ まつい
編集後記
編集体制変更のお知らせ